日本の賭博法とは?近隣諸国との比較
日本でも、最近はカジノ法案に関するニュースに準じて、賭博法というワードを多く耳にするようになりました。しかし、一体賭博法とは具体的には何を指し、逆にどのようなギャンブルは賭博法に該当しないのでしょうか。
本記事では、日本の賭博法の概要と、賭博法に抵触しないギャンブルについて探ります。さらに、日本の法律と近隣諸国の賭博法とを比較し、各国のギャンブルに対するアプローチの違いを明らかにしていきます。
日本の賭博法とは?
日本の賭博法は1907年に制定されたもので、賭博に関する基本的な規制枠組みを提供しています。そして、賭博法の主要な内容は、賭博の定義、禁止事項、そして違反者に対する罰則から成り立っています。
「賭博」とは「互いに対等な立場で金品を賭けて行われる運の試し」を指しており、この行為やそれに関連する斡旋・仲介、場所の提供なども禁止されており、これに違反すると罰則が科せられます。罰則内容は、これらの行為に対する懲役や罰金が科せられることと定められています。
一方で、賭博法に関する原則は、近年変化しつつあります。特に最近では、カジノを含む統合リゾート施設(IR)の整備推進法が2018年に制定され、カジノ運営は法的に許可される枠組みが整備されてきています。これにより、今後日本国内においても、国際的な規格に則ったカジノが開業する可能性が高まっています。
賭博法に関する理解は、日本国内でのギャンブル活動を安全に楽しむうえで欠かせない要素です。法律は常に変わる可能性がありますので、最新の法律や規制を確認し、適切な知識を持ってギャンブル活動を行うことが重要です。
賭博法に該当しないギャンブルとは?
実は日本には、賭博法の規制を受けない公営ギャンブルが存在します。これには、パチンコ・スロット、競馬、競輪、ボートレース(競艇)、オートレースなどが含まれます。
たとえばパチンコ・スロットは、結果が一定ではなく、運や技術も一部関与する点が多くの人々を引きつける要因となっています。そしてこれらは、賭博法の下では「ゲーム」や「娯楽」に分類されるため、賭博法の規制を回避しているのです。
競馬も同様で、地方競馬や中央競馬などがあり、それぞれの競馬主催者が設定するルールのもとで運営されています。競馬の場合、馬の持ち主や調教師、ジョッキーなど、多くの関係者が関与しており、競馬を支える大きな産業が形成されています。このため、競馬も賭博法の規制から除外され、合法的にギャンブルが楽しめるエンターテイメントと位置付けられています。
競輪、ボートレース、オートレースも公営ギャンブルの一環として、各自治体が主催し、規定に基づいて運営されています。これらの競技は、競技者の技術や戦略、運が大きく関わるスポーツ性の高いエンターテイメントであり、観戦するだけでも楽しむことができます。
このように、公営ギャンブルは国や地方自治体が主催もしくは監督しており、その運営の透明性や公正性が保たれています。そして、賭博法に抵触しない理由は、これらのギャンブルが「公営」である点にあり、収益の一部は公共の利益に寄与しているとされるからです。
そのため、公営ギャンブルは法律によってクリアに規定され、認められているギャンブルとして安心して楽しむことができます。
なお、公営ギャンブルの利用は20際以上からとされておりますので、年齢制限に関しては十分ご注意ください。
近隣諸国の賭博法は?
日本の近隣諸国における賭博法も各国で異なります。以下、中国、韓国、台湾、シンガポールおよびマカオの例を挙げて解説します。
中国
中国では、賭博行為全般が禁止されています。中国刑法により、賭博の主催や参加、賭博場所の提供は犯罪とされており、罰せられることが明文化されています。しかし、香港およびマカオは例外です。香港では馬券やフットボール賭博が合法で、多くの人々が参加しています。
韓国
韓国でも賭博は基本的に非合法です。しかし、一部例外も存在。「カンウォンランド」などでは1967年時点ですでに観光客に対してカジノを解禁しており、韓国国民も合法的にランドカジノを楽しむことができます。
また、日本と同じように競馬、競輪、ボートレースなどは公営ギャンブルに仕分けされています。そして、これら合法的に運営された公営ギャンブルで遊ぶことも可能です。
台湾
台湾では、ギャンブル活動は「賭博罪」とされ、法律で禁じられているため、公認のカジノは存在しないのが現状です。過去には、日本のパチンコやスロットマシンのような遊戯も一部に見られましたが、今日ではこれらも法的に取り締まられ、存在しない状態です。
また、以前にカジノ設立に関する法案が議会に提出されたこともありますが、台湾法の可決には、島民の「過半数以上」の賛成が不可欠です。そして、島民の約80%が反対の立場を取ったため、こちらも否決となりました。
一方で、台湾ではコンビニやタクシーで受け取ることができるレシートに印字された8桁の番号を利用して、宝くじに参加することが許可されています。このため、台湾を訪れる旅行者は、これらのレシートを慎重に取っておくと良いでしょう。
シンガポール
シンガポールでは2006年に「カジノ管理法」が制定され、それに基づいてカジノの運営が許可されています。
現地には「マリーナベイサンズ」と「リゾートワールドセントーサ」の2つの大規模なカジノリゾートが存在し、多くの観光客を引きつけています。しかし、シンガポール国民や永住者がカジノを利用する際は、入場料を支払う必要があります。
また、ランドカジノが充実する一方で、実はオンラインカジノに関しては厳しい規制があります。「Remote Gambling Act」という法律により、シンガポール国内でオンラインギャンブルサイトを運営することは基本的に禁止。さらに、シンガポール国内から海外のオンラインギャンブルサイトへのアクセスや、その利用も違法とされています。
マカオ
マカオは「東洋のラスベガス」とも呼ばれ、世界一のカジノリゾート地です。マカオは中国の一部でありながら、特別行政区として独自の法律体系を持ち、賭博が合法であるという特異な地域であるともいえます。
マカオの賭博が合法である理由は、政府が賭博業界を厳格に規制・監督しているからです。賭博業は「マカオ特別行政区賭博法」に基づいて運営。この法律には、賭博業の開設・運営、ゲームの種類、賭博税に関する規定などが含まれています。
そして、賭博施設を開設・運営するためには、「マカオ特別行政区政府」から賭博許可証を取得する必要があります。この許可証は一定の期間でのみ有効であり、期限が切れると再申請や更新を行う必要があります。また、カジノの運営者は一定の賭博税を政府に納付する必要があり、これがマカオ政府の重要な収入源となっています。
また、多くの観光客やギャンブラーを引きつけるマカオですが、利用者側にも一定の規制があり、例えばカジノの入場年齢は21歳以上と定められています。また、公共の場においての賭博行為は禁止されており、公認のカジノ内でのみ賭博が許可されています。
日本でオンラインカジノは違法?
日本では、カジノ法案、さらにはIR整備法が施行され、日本国内においてもランドカジノの運営が法的に認められることに、そして、「統合型リゾート(IR)」と呼ばれる複合施設内にカジノを設置・運営することが許可されました。
そして、これらのランドカジノは政府や自治体の一定の規制と制限のもとで運営されます。
その一方で、世界的にファンを増加させており、日本でもプレイヤー数が拡大しているオンラインカジノに関しての取り決めはどうでしょうか。オンラインカジノを利用することは、日本の賭博法には該当しないのでしょうか。
結論は、“グレーゾーン”とされています。たしかに日本では、ギャンブルサイトにおいて実際の資金を賭けると、法的には問題があるとされています。
しかしながら、多くのオンラインカジノは海外拠点の企業が運営。さらに、厳しい監査をクリアした上で、キュラソーやマルタなど公的なゲーミングライセンスも取得して、サービスを展開しています。つまり、これらのオンラインカジノは海外の政府認可で運営されているという証明でもあります。
そうすると、国内からアクセスしていたとしても、公的な資格を持ったプラットフォームで遊んでいることになるため、取り締まりに関しては未だ決定的なルールがなく、“グレーゾーン”という判断になっているのです。
結論
日本における賭博法は、これまで広くギャンブル行為を禁止してきました。しかし、収益の一部が公共の利益に寄与していると認可された公営ギャンブルが、これに該当しません。
また、オンラインカジノで資金を賭けることは賭博法に抵触するとも言われていますが、プラットフォーム自体は海外の会社が運営かつ、海外政府のライセンスを取得して運営されています。そのため、これらのオンラインカジノサイトで遊ぶことに対しては、現状の賭博法の枠組みでは規制することは難しいとも言えます。
一方、近隣諸国では、それぞれ異なる法律や規制があり、日本とはギャンブルに対するアプローチが大きく異なります。本記事で紹介したような各国のルールを通じて、日本の賭博法がどのような特徴を持ち、他国とどのように差異があるのかを理解することができたでしょう。
これからギャンブルを行う際には、改めて個々の利用者が適切な知識と認識を持ち、リスクを避けながらエンターテインメントとしてギャンブルを楽しむことが重要です。